大会長挨拶

  第25回 日本難病看護学会学術集会 大会長
 中山 優季 公財)東京都医学総合研究所 難病ケア看護ユニットリーダー
第25回日本難病看護学会学術集会は、学会創設以来初の「合同学術集会」となります。本来であれば、このことだけがトピックスであったのですが、本原稿執筆中の2020年3月現在、日本を含む世界は、COVID-19との闘いを強いられる事態に陥っています。この感染症は「単なる風邪が長引くだけ」ということもあれば、「重症化したら死に至ることもある」そして、「無症状の人が感染を拡げているかもしれない」といわれています。どれも正しい情報であり、それがゆえに社会は不安に陥っているのでしょう。「見えない敵との闘い」という点において、「難病」の世界との共通性を感じます。難病の起源は、奇しくも、前回の東京オリンピック開催前の1955年頃からのスモン(SMON)の発生と言われます。のちに、整腸剤に含まれていたキノホルムの薬害であったことが分かったのですが、奇病とされ、社会的迫害や差別を受けました。感染者数を知らせるニュースを見ながら、当時に思いを馳せます。現代は、SNSをはじめとする通信・情報技術の発達による情報過多時代を迎え、当時より瞬時に多くの情報を得ることができようになりました。それでも、これだけの社会不安や混乱をきたすのは、「敵を知り、適切に怖れること」の難しさにほかなりません。

難病の世界では、日進月歩の進化によって、見えない敵の正体がわかりはじめており、学術集会のサブテーマを「難の克服を目指す 難病新時代の到来」としました。この新時代の到来にあって、人々の不安が拭えるか、が今まさに私たちに問われているのだと思います。「わからないことをわからない」と不安にさせずに伝えること、その中で最善を尽くすこと、難病ケアの在り方そのものではないでしょうか。それぞれの経験や工夫を持ち寄り、これからへ生かすための学術集会を予定通り開催できることを祈りつつ、準備を進めています。続く企画をご覧いただき、ご参加を検討いただけますと幸いです。

 

  第8回 日本難病医療ネットワーク学会学術集会 大会長
  川田 明広   東京都立神経病院 副院長
 第8回日本難病医療ネットワーク学会は、第25回日本難病看護学会と合同学術集会を行うことになり、学会のメインテーマを「ともに」といたしました。多職種の医療連携により、患者さん・御家族が、より有効な治療法の開発に期待しながらも、難病とともに生きていこうとする力や創造力など患者さん自身に「可能性として内在している力」を周囲との協力によって、ともに引き出していって欲しいという願いからです。

小児から成人までのすべての領域の難病を対象とした難病医療提供体制に関する最新の情報を交換するとともに、今回は日進月歩で進んでいる難病に対する新しい治療法についても積極的に取り上げ、魅力的な学会にしていきたいと思っています。

難病医療介護福祉を担う多くの多職種の方に、ぜひ多く参加していただきたいと思います。

「令和」も2年目を迎え、本来の「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味を、難病医療介護福祉にも広げ、皆さんと「ともに」、日本発の新しい取り組みを発信していきましょう。

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